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MAGIC – THE BUSINESS OF FASHIONの視察レポート
(2014年8月25日)

米国・ラスベガスの2会場で合計10の展示セクションから構成される北米最大規模のファッションの展示会「MAGIC」が8月18日〜20日の3日間、今回も盛大に開催された。日本からも米国マーケットを狙う企業が多数出展した。出展のみならず、買付け目的の日本企業も多い。NYの同種の展示会と比べ、規模的に来場者数・バイヤー数が全米最大で、アメリカのファッショントレンドを把握しマーケットを俯瞰する上でも注目度は高い。前半ではアメリカ市場について、後半では日本企業の動きを中心にMAGICの顛末をレポートする。

<アメリカ市場について>
アパレル:
米国のアパレル小売市場は2012年に対前年比3.5%増の3390億ドルに達した。2017年には2012年比で25.8%増の4260億ドルが見込まれ、期待感が高まっているのが今のアメリカ市場だ。レディースアパレル市場はUSアパレル市場の過半数を占める。高価格帯のカテゴリー(デザイナー&ドレス)は2012年に大幅に成長。今後も継続した成長が期待できる。

magic magic

一方、メンズは全体の32%を占め、2012年には1080億ドルに達し、2012年の30ドル以上の全価格帯におけるメンズアパレルの売上は2桁の伸びを記録した。

靴:
米国の靴市場は2011年に3%増え677億ドルに達した。2016年には2011年以降の市場規模が、20.6%増の816億ドルにまで拡大すると予想されている。

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デニム:
世界のデニム市場は2011年には約600億ドル、2015年までに650億ドルに達すると予測されている。アメリカでは毎年4億5000万本のデニムジーンズが購入されている。アメリカの大人の30%以上はジーンズを4-6本、19%は7-9本、17%は10本以上所有している。50ドル以上の女性用ジーンズは米国での女性用ジーンズ市場の24%を占めている。

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ストリートウエア:
ストリートウエア&スニーカーの市場規模は米国内で約600億ドルと見られる。18-24歳の世代はアメリカでは900億ドルの購買力があり、そのうち最低でも20%はストリートウエアやスニーカーに使われている。ある調査では、アメリカの15-19歳は年間220億ドルをファッションアイテムに使うと報告されている。

MAGICの特色を述べておく。一日の発注金額は100億円。MAGIC主催者も毎回、手を変え品を変え工夫を重ねている。下の写真はWWD会場内でのファッションショーとブロガーによるトークセッション。
• ラスベガスで年に2回、2月と8月に開催
• 世界100ヶ国以上から30,000社が出展
• 2013年8月には、6,000のブランドが100万平方フィートを埋めた
• 6,000のブランドのうち、1,800の新規ブランドがこの8月に出展
• 海外小売は前年比12%増
• インターネット小売は前年比25%増
• チェーン店前年比10%増

magic magic

<日本企業の出展の動き>
ジャパンブランドに対する信頼と期待は大きいとMAGIC主催者からはよく聞くところ。素材とOEMを目的とするSOURCINGの展示セクションでは、近年、中国からの出展者が圧倒的多数を占めるに至っており、その反動もあってか日本への期待が大きい。今年8月のSourcingへの日本企業の出展は皆無であった。一方、WWDMAGICとPROJECTには、繊研新聞のブースも出て「JAPAN FASHION」を大いにアピールしていた。繊研ブースと共に日本企業も同じゾーンで出展、確かな成果をあげた企業が複数あった。受注に繋がり、結果、来年2月のMAGICに引き続き出展する企業も出てきた。

WWDMAGICにおいては、主催者側の配慮もあってか、JAPAN FUN TIME! という大きな電飾を使った目立つ表示を日本のブースの上に吊るしてくれていた。ブースの前がカフェスペース、その隣にはSUSHI BARが配置され、大きな会場の中で遠目からでもよく目立った。加えて、海外出展経験のある出展者はシェフ姿で人目を引く出で立ちで対応するなど、ブースデコレーションにおいても存在感を出していた。やはり、目立つこと、主張は大事である。SenkenゾーンはMAGICには初出展の企業が集まり、メディアからインタビューを受けるなど注目を集めていた。

magic magic
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一方、PROJECTでは、Senkenゾーンにジャパンブランド5社が合同出展していた。広い会場の中で奥まったロケーションというマイナス要因もあり、来場バイヤーが十分に循環していなかったのは見ていて残念であった。PROJECTは人気があり、既存出展者を当然ながら優先して配置していくため、「新参者」にとってはロケーション的にはどうしても会場全体の中に埋もれしてしまうようだ。

主催者によれば、展示会出展の初回から結果を出すことはむしろ珍しく、2回、3回と繰り返し継続出展するなかで、ブランドの認知と受注に繋がっていくことが一般的だという。確かにそうだが、ブースロケーションはやはり気になる。

ある出展者は「バイヤー・来場者の多寡にかかわらず、自社製品のデザインや素材感、商品コンセプトなどについて少しでもバイヤーや来場者に知ってもらい、その場でのやり取りから多くのフィードバックやレスポンスを得られたことは一定の収穫でした」と答えてくれた。さらに、「卸値の設定、決済方法、取引条件等を含め、商談成立までの道のりにおける問題点が浮き彫りになり、取り組むべく課題・問題点が明確になったことは次につながる成果と言えます」と前向きに出展者は締めくくっていた。

<展示会ビジネスに加えて>
ロサンゼルスのダウンタウンに布や生地から洋服、バッグ、アクセサリーなどありとあらゆるものを扱うFashion Districtと呼ばれる卸問屋街がある。このエリアで営業をしている企業の中で、相当数の企業がMAGICに連続出展して商談実績を出している。日本企業にとっても問屋の企業と組んでのビジネスは十分可能性があるのではないだろうか。展示会出展に加えて、問屋との連携で米国市場の販路開拓が加速できる可能性も膨らむ。ただ、問屋街の商品価格は、高額ではなく5ドルから40-50ドル前後の商品の扱いが多く、その価格帯にあう商材が主な対象になるのではとの業界筋のコメントもあった。

もうひとつ。Fashion Districtは地理的にはダウンタウンのSan Pedro St.とStanford, 9th St.と12th St.の間にあり、比較的近いところ(Los Angeles St.と9th St.の近辺)のビル群にショールームが固まっている。ショールームの効率的な活用もビジネスを活性化してくれる。聞くところでは、毎月400ドルから2000ドル、あるいは〜4000ドルの費用がかかる。エージェントへの注文が入った際のコミッションは売上の12% 〜15%が多い。米国市場での販路を目指す日本企業にとって、展示会を軸にした包括的な取組みも今後検証すべきと考える。

magic magic
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最後に初めて出展する企業にとって、出展が目的となってしまう傾向は否めない。展示ブースでオーダーが出たり、あるいは引き合い・問合せがあった際の対応が「アメリカ仕様」になっておらず、ビジネスがその時点で終わってしまうケースが多い。例えば、決済方法もwire transfer(銀行送金)では敬遠される。値段提示もFOB JapanよりFOB USAが望ましい。米国バイヤーにとって抵抗のない対応がビジネスを円滑にしてくれる。同時に、輸入代行、米国での在庫や発送代行などをやってくれる企業を見つけることも必要となる。

「石の上に3年」という諺がある。アメリカ市場参入を目指す日本企業は3年連続して出展するだけの覚悟が欲しい。新規市場への参入は簡単ではない。しかし、米国市場はその挑戦の価値がある可能性に富んだビッグマーケットである。最後は、成功するまで挑戦しつづける執念と工夫とお金ではないだろうか。

(以上)


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