What's New

ポーランドの最新ビジネス環境 Part I: 基本編
(2014年9月16日)

この9月前半にワルシャワとクラクフを中心に複数の企業訪問と今のポーランドを視察して回った。この章ではポーランド基本編として、ポーランドの概要と基本ビジネス環境について報告する。

ポーランドはHeart of Europeと呼ばれ、文字通りヨーロッパの中央に位置し、ポーランドを基点に周辺国への市場参入を計画する企業の投資先としても注目を集めている。日系企業の進出動向としては、新規の進出企業数自体は減少しているが、M&Aが増加している。2014年6月時点の進出企業数は291社、このうち製造業は3割弱の80社を数える。在留邦人は外務省発表によると2012年10月1日現在で1188名。ちなみに、日本食ブームでワルシャワには約300を数える日本食レストランが点在する。日本人オーナーは僅か2店舗のみらしい。

Polandの語源は「平原」、文字通りの限りない大平原が広がっている。移動は鉄道では遅れることが多く、多少の距離であれば車が一番確かで時間が読める。ワルシャワからクラクフは約300キロ、特急列車に乗れば2時間半だが、今回も車で片道4時間かけて移動した。観光でなく行く先行く先にアポイントがある場合は車での移動を薦める。ポーランドはどこを走っていても道路や建物の建設・工事・整備中で、インフラ整備はポーランドのいわば真骨頂。政府も「Poland Under Construction」と自らをそう呼んでいる。

筆者はこれまで何人かの日本人に、「ポーランドと聞いて何をイメージしますか?」と問うと、負の遺産であるアウシュビッツ、そして、少し間があってショパン!との回答が多い。次にワレサ元大統領、ヨハネ・パウロ2世、アンジェイ・ワイダ監督が3人から5人に一人知っているか知らないかの割合で、キュリー夫人やコペルニクスがポーランド出身者であることを知る人は先ずいない。一般の人たちのポーランドへのイメージは大体がそんな感じで、年間の日本からのポーランド訪問者数が5万人に満たないのが現状。直行便がないことが訪問客増に弾みがつきづらい。ポーランド人の合い言葉は「神・名誉・祖国」で、自国の独立だけでなく、盟友国の独立をも求めて戦ってきた気高く心熱き民族の血が流れている。

ポーランド   ポーランド
ワルシャワ市内

ポーランド  ポーランド
ワルシャワ旧市街

ここで簡単にポーランドの基本事項について触れておこう。

<基本データ>
人口は約4000万人、国土面積は31万平方キロと日本の約85%。言語はポーランド語(西スラブ語派に分類)で、主要なホテルやレストランなどは大体英語でも通じるが、タクシーの運転手や街中のお店では英語が通じないことが多い。日本人が英語を話さないのと同じぐらいではないかと思われる。宗教はローマカトリック90%、東方正教、プロテスタントなど。1995年以降、WTO、OECD、NATOに加盟、EUには2004年5月に加盟している。共和制で議会は上院・下院の二院制。

この中で、特筆すべきは、ポーランドは欧州の中で最も出生率が低い国の一つ。2002年から2006年の5年間の出生率は1.2台となり、2006年までは生まれてくる子どもの数より、死亡者の数が上回ったと聞く。出生率の低さの要因は、女性が仕事と家庭の両立に不安を抱えていることや若い母親に対する差別的待遇が深刻な問題となっているらしい。つまり、ポーランドは「人口増のマーケットではない」という事実認識が大事となる。

<経済動向>
中央統計局(GUS)は、2014年第2四半期の実質GDP成長率(季節調整済み)が前年同期比で3.3%、前期比では0.6%と発表した。投資等の内需は堅調に伸びており、2014年の経済見通しは明るい。今後はウクライナ情勢、ロシアの制裁の影響、トゥスク首相が欧州理事会常任議長の就任に伴う首相職の辞任*による国内政治の不安定化の可能性がリスク要因になるものと見られる。(*リスボン条約の規定により、欧州理事会議長は国内での役職と兼任することが禁止されている)。2013年の一人当たりのGDPは13,394ドル。なお、欧州委員会の春季経済予測(2014年5 月)によると2014年3.2%、2015年3.4%と共に3%超えを見込んでいる。

ポーランド 
ドナルド・トゥスク 1957年生まれ  

ポーランド経済は外需と内需の両輪が支える構造となっている。ズロチ安により外需が下支え、個人消費が経済を下支えという構図である。また、為替レートの推移を鑑みて、ズロチ安が危機下の輸出増に繋がったとの認識である。ユーロ導入の効果への懐疑やユーロ導入に憲法改正が伴うこと、そしてEU内での周縁化の危機感があることで、ユーロ導入は当面は困難と見られている。

<人口分布>
人口の集中地域はワルシャワ周辺、南部シロンスク地方。次に、クラクフ、ポズナン、ヴロツワフ、グダンスクなどの大都市周辺。人口50万人以上の都市は5都市である。ワルシャワ、クラクフ、ウッジ、ブロツワフ、ポズナン。

ポーランド 
Sources: Prepared by JETRO

<ワルシャワの所得水準>
ワルシャワで食事や買い物をして「高いな」と感じることはあっても割安感は余りない。住民一人当たりのGDP(購買力平価基準)は16県中15県がEU平均の75%に達していない(2010年GDPベース)。ただし、ワルシャワのあるマゾヴィエツキ県はEU平均を超え、ワルシャワに限ればEU平均の2倍近くの水準となっている(188)。都市部とそれ以外の格差は大きい。ウッジ77、ポズナン122、シュチェチン77、ヴロツワフ95である。

ポーランド 
Sources: Prepared by JETRO

今回のポーランド訪問の際、羽田からロンドン経由でワルシャワに入った。Lost Luggageが発生し、ワルシャワに着くや下着やシャツ等を買い求めるハメとなった。これは「参考にならない参考」かもしれないが、ことのついでにちょっとしたリサーチも兼ね、下着の値段を比較調査してみた。以下に紹介しておこう。

ポーランド  ポーランド
カルバンクライン3枚パックで179.95ズロチ(1枚2100円)

ポーランド  ポーランド
HUGO BOSS3枚パック199.95ズロチ(1枚2330円)     TOMMY HILFIGER 3枚パック159.95ズロチ(1枚1860円)

ポーランド  ポーランド
DIESELは115.95ズロチ(1枚3820円)

ポーランド  ポーランド
ワルシャワ市内のショッピングセンター内の店舗

<ポーランドの貿易構造(品目別)>
輸入総額(2012): 6481億2760万ズロチ(約1540ユーロ)
輸出総額(2012):6034億1860ズロチ(約1435ユーロ)
日本向け輸出は豚肉が最大の輸出品目だが、ポーランドでのアフリカ豚コレラの発生により、2014年2月に輸入禁止措置がとられた。

 【輸入の内訳】
  機械類・輸送用機器類:32.1%
  原料別製品:17.3%
  化学工業品:13.9%
  鉱物性燃料、潤滑油その他:13.2%
  雑製品:9.1%
  食料品・動物:7.0%
  食用に適しない原材料(鉱物性燃料を除く):3.5%
  特殊取扱品:2.9%
  飲料・たばこ:0.6%
  動物性・植物性の加工油脂・ろう:0.4%
【輸出の内訳】
 機械類・輸送用機器類:37.4%
 原料別製品:21.1%
 雑製品:12.7%
 食料品・動物:10.5%
 化学工業品:9.1%
 鉱物性燃料、潤滑油その他:4.9%
 特殊取扱品:2.9%
 食用に適しない原材料(鉱物性燃料を除く):2.4%
 飲料・たばこ:0.4%
 動物性・植物性の加工油脂・ろう:0.2%

出所:Yearbook of Foreign Trade Statistics of Poland 2013)

<ポーランドの貿易構造(国別)>
輸入総額(2012): 6481億2760万ズロチ(約1540ユーロ)
輸出総額(2012):6034億1860ズロチ(約1435ユーロ)

 【輸入相手国の内訳】
  ドイツ:21.3%
  ロシア:14.0%
  中国:8.9%
  イタリア:5.2%
  フランス:3.9%
  オランダ:3.9%
  チェコ:3.7%
  米国:2.6%
  韓国:2.3%
  日本:1.4%
  その他:32.8%
【輸出相手国の内訳】
 ドイツ:25.1%
 英国:6.8%
 チェコ:6.3%
 フランス:5.9%
 ロシア:5.3%
 イタリア:4.9%
 オランダ:4.5%
 ウクライナ:2.8%
  米国:1.9%
 中国:0.9%
 日本:0.3%
 韓国:0.3%
 その他:34.9%
(以上)


Recommended