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ヘルス・ツーリズム展 「Anfas Hetex "5th International Health Tourism Exhibition"」視察レポート Part IV(完結編)
(2013年11月23日)

アンタルヤのヘルス・ツーリズムをいかにプロモーションしていくか、トルコのハマムと日本の温泉を乗入れさせたビジネスをどう構築するか、などを考えていく上で、日本の現状を理解しトルコの現状や問題点を学ぶことは言うまでもない。その意味で今回の視察ツアーは貴重な第一歩であった。

ここで、日本の温泉の現状について少し触れておきたい。
日本は温泉大国である。世界で最も温泉の数が多く、全国に約3000ヶ所ある。名温泉地と称される有名どころは400-500ヶ所を数える。日本の温泉を語る上でのキーワードは「療養の温泉」「湯治場」「温泉保養地」である。日本の温泉地は、観光・歓楽を中心とする団体旅行型の旅館やホテル、保養・湯治を中心とする温泉地、数軒か一軒宿の温泉など様々である。温泉の歴史は、江戸時代の昔、湯治・療養の面から発達してきたことが判る。時代の変化と共に、歓楽を主体とする温泉地の存在が出てくる。歓楽と保養はお互い補完し合うかたちで続いてきたとも言えよう。一頃、数寄屋造りの宿と懐石料理至上の高級化指向の強い時代があった。その後、手軽な日帰り入浴、立ち寄り湯、家族での楽しい足湯、都市型のテーマパーク的温泉、健康ブームによる保養・湯治の復活など、常に時代とともに変化してきた。

日本の温泉地は例えば、「温泉の保養地化」が話題に上がると、どこもかしこもスパリゾートを目指そうとする。大事なのは、自分たちの特異性と強み・弱みを忘れてはならない点である。日本の温泉地の強みは、第一に多量な湯量と多様な泉質によって生みだされた様々な入浴法にある。NPO法人健康と温泉フォーラムの報告書によると、日本には様々な温泉の種類があることがわかる。酸ヶ湯温泉のまんじゅう蒸し、須川温泉のおいらん風呂、玉川温泉の岩盤浴、瀬見温泉の痔風呂、峩々温泉の掛け湯、別府竹瓦温泉の砂蒸し、紺屋地獄の泥湯、塚野温泉や湯平温泉、長湯温泉などの飲泉、筋湯温泉の打たせ、寒ノ地獄の冷泉浴に対する草津温泉の時間湯など。「クアハウス」のモデルとなった、ドイツ・バーデンバーデンのカラカラテルメの屋外プールの発想は、実は日本の混浴露天風呂が祖型であることを知る人は少ない。

観光・歓楽型と滞在型・保養型に2極化した日本の温泉地。片やイタリア、フランス、ドイツ等ヨーロッパの温泉地は保健治療から個人のベネッセ(健康づくり)にシフトしてきている。果たしてトルコはどうなのだろうか? そんな動向を踏まえつつ、日本とトルコとの相互乗り入れの可能性を考えていきたい。

次に、今回、参加された方のトルコ・アンタルヤ初体験の印象やご意見をここに共有させていただく。

アンタルヤ・ツーリズムの魅力について?

  • 日本人にあまり知られていないリゾート地であることが第一に魅力。小さな街の中に港町、坂道、石畳、リゾートホテル、地中海などがぎゅっと詰まっていて、街の様々な表情が短時間で楽しめるところがいい。ロマンチックです。食材の新鮮さ、豊富さ、特に野菜、チーズ、オリーブ、フルーツには感動した。街のハマムから高級ハマムまで様々なハマム文化が楽しめるところもいい。美容寄りのスパも体験してみたかった。
  • 成長著しい部分と昔ながらの部分、ともに魅力があり、旅人住人両者がともにムリすることなく自然に融合しているという空気感にまず魅力を感じます。 古代遺跡、健康施設、アクティヴィティなどは他の観光都市に劣ることはあるかもしれませんが、なによりも、のんびりと過ごせながら適度な刺激もある、「ちょうどよさ」が魅力です。都市化も旅の便利さにおきかえられるぎりぎりの良さがあり、都市の便利さ、庶民的な観光、高級リゾート、その三位一体の感覚はなかなかない魅力かと感じます。

アンタルヤ訪問における今回の一番の発見と成果は?

  • アンタルヤという街そのものの発見。トルコといえばイスタンブールしかイメージがなかったが、地中海沿いにこんなリゾート地があるとは! トルコそのものが初めてだったので、食材の豊富さ、新鮮さも発見でした。ヘルス・ツーリズムが盛んであるということも発見でした。展示会に、アゼルバイジャンやコソボ、カタール等の周辺諸国の方がいらっしゃっていたのも印象的でした。
  • パレスホテルが多く、ホテルリゾートとしておもしろいと思いました。 大きなコンベンションや展示会を誘致できれば、昼間にコンベンションや展示会で仕事し、スパでリラックスし、パレスホテルに宿泊するパターンは、日本人にも喜ばれると思います。
  • 観光都市として過度にインターナショナルにする必要はない。適度なホスピタリティ、いわばトルコ流のおもてなしの精神がここにあったように思います。土産物屋など、普通の観光地ではうるさいだけの存在なのですが、ここでは、適度な距離感を保ち、決して押しつけがましくはない。自分たちの文化を守り、それを訪問客には感じて欲しいが、無理に押し付けようとはしない。シャイというカジュアルな言葉もあてはまりそうですが、それよりも、日本の田舎と似た、どこか懐かしい人間が、この町自体の魅力ではないかと思います。つまりは、日本の良さ、日本人が感じる心地よさが、この土地にも相似形であるのではないかと感じます。この相似形を作っているのは、豊かな食文化、心地よい気候、人間関係の距離の取り方など。食事事情をもっと日本人にあうようなものに近づければ(調味料、バリエーションなど)、単なる観光ではなく、長期ステイ、高齢者の方の移住先としてもおもしろいのではないかと感じます。旅のディスティネーションとしてのイスタンブールやカッパドキアではなく、暮らす、という面から脚光を当てても良いのではないでしょうか。ビジネスパートナーシップとしても、人間関係的にかなり近い距離からはじめられるような感もあります。
  • 日本からの旅行者を増やすためのトルコへのアドバイスは?

  • 女性誌エディター的な観点からいうと…
    食材の魅力を活かしてファインダイニングを増やす。ホテルのレストランもまだまだ。あれだけ魅力的な力強い食材が揃っているのだから、世界で一番グルメと言われる日本人を唸らせるようなファインダイニングができれば、それだけでも人は来ます。どこか外国から料理人を招聘してもいいかもしれない。
    美容スパを増やして技術を向上させる
    ハマムでからだを洗ってもらっても、それは「珍しい体験」ですが、何度も行かなくてもいいかなというもの。フェイシャル、ボディなど、スパメニューを揃えた場所がいろいろあるといいですね(今回は行けなかっただけかもしれませんが)。このあたりは、バリ島のイメージが参考になると思います。
    プチホテルを建てる
    大型ホテルはどうしてもロマンチックな気分になれません。旧市街カレイチには邸宅を改装したおしゃれなホテルがたくさんありましたが、海沿いにもあるといいなと思いました。
    トルコ航空の魅力発信
    トルコ航空がこれだけ快適で魅力的だとは知りませんでした。特に機上Wi-Fiはありがたかったですし、機内も快適。東京に戻ってからエディターの友人と話すと、もっともデスティネーションが多い航空会社なのでいつも海外出張はトルコ航空を利用している、その都度イスタンブールでステイしているとのこと。そういうトルコの訪問の仕方もあるのか、とハッとしました。
  • ハワイやグアム、アジア各国には「豪華なホテル」や「リラックス施設」などがあり、食事も日本料理があったり、日本人向けにおいしいものがつくられていたりします。日本から見れば、トルコ(イスタンブール)は遠く、アンタルヤはさらに遠く、観光で訪問するには大きな理由や魅力が必要です。遺跡や滝だけでは難しく、「遺跡での音楽会」「滝での宿泊」「コンベンションや展示会」といった+@が必要ではないかと考えます。
  • 海外ビジネスをすすめる際に重要なのは、「アンタルヤにいけば何の産業があるのか。何のメリットがあるのか」という問にシンプルに応えられることです。もちろんその答えは、海外とのビジネス展開の可能性があるものでないといけません。アンタルヤの海外交流できる産業を明確にし、日本語に訳し、日本の海外ビジネス支援機関であるJETROや専門民間企業に仲介を依頼し、セミナーや広報、ビジネスミッションを行うことで、ビジネスの芽がうまれてくることを期待してはいかがでしょうか。
  • まずアンタルヤには、日本の多くの方が描く、エクゾチックなトルコのイメージではなく、洗練されて便利なリゾートシティという新しいトルコを紹介する上で、格好の都市でしょう。メディア側として感じるのは、今回のスポーツ、ウェルネス系のツーリズムには大きな可能性を感じます。食、ライフスタイルの面でも沢山の掘り出し物があると感じます。個人的には早々にトルコワインを軸とした、トルコ産の野菜や果物、ハーブなどをあわせた豊かなテーブルの提案をしていきたいと思います。単なる料理、ワインの紹介ではなく、そこにいかに豊かで、日本人も取り入れられるライフスタイルがあるかを知らしめることができるはずです。もっとこの地の2つのライフスタイル、つまりは外国人としてのリゾートライフスタイルとアンタルヤの方の普段のライフスタイルを知り、体感し、そこからヒントを得たいと思います。商談会でお話を聞いたケメルのオリンポス山を中心としたアクティヴィティは、アンタルヤリゾートと併せて、新しいトルコの魅力として伝えたいトピックスでした。
  • トルコ旅行のイメージは絶景トルコ、ダイナミック周遊8日間、5つの世界遺産と悠久の自然、イスタンブール、カッパドキア、エーゲ海10日間
    といった可処分所得が比較的高い余裕のある50代60代のツアーか逆に大学生を中心としたバックパッカーという2極化が固定されているように感じます。
    その中で、30代40代の女性・男性に対しての魅力をもっとアピールしていくべきではないでしょうか。例えばアンタルヤを軸としたスポーツ、ウェルネスアクティヴィティは、非常にこの世代に刺さるコンテンツですし、スパを軸としたゆったりステイは母子旅にもお勧めできます。トルコ航空の適度な乗客との距離感、エコノミーでの快適さ、意外なデザインコンシャスな部分などは、もっとうまく訴求できると思います。また、定番のトルコ、ギリシャ、エジプト旅ではなく、トルコをハブにした旧ソ連、キプロスなど新たなディスティネーションとの組み合わせも提案できる優良なツアーコンテンツです。未知の国々への旅は不安もあるでしょうが、親日的で都市機能も発展しているトルコをベースキャンプ的に使うことで、旅行客の安心感も生み出させます。今後、こうした旧ソ連系の国々をメディアで取り上げる際にも、トルコがベースキャンプだったというような少しでもトルコの存在感を入れていくということも有効かと思います。残念ながら、せっかく20代30代女性向けのメディアで紹介していても、紹介している内容はほとんどが50代60代の方のツアーと同様のコンテンツにとどまっているのが現状です。もっと、30代40代といった層に直接訴える旅行の提案をしていくべきです。
    その点ではアンタルヤ+サッカー合宿、ケメル+サイクルスポーツといった提案も面白いと思います。最近のトピックスでは、パラオでオリンピックディスタンスのトライアスロン大会を日本向けに開催したところ、感性豊かな30代40代の若いマネジメント層が多数参加し、新しいビジネスモデルとして注目されています。この金脈はトルコにもあるはずです。
  • トルコのビジネスパーソンと日本の様々な業種のビジネスパーソンが、アンタルヤにて胸襟を開いて語り合ったり、酒を酌み交わしたり、一緒にハマムに入り、一緒に山に登り、一緒に朝食をともにし、街の食堂に入り、サッカーを楽しむ。若者たちとも語り合う。…そんな日本的懇親旅行をしてみるのはいかがでしょうか? 5人一組のグループをつくって1週間、みっちりと行動を共にする。アンタルヤと日本は、時間をかければとてつもなく強いきずなで結ばれそうな不思議な期待感があります。そこでイスタンブールやカッパドキアだけではない。アンタルヤの新市街の発展とノスタルジックな旧市街、国際的に開かれたリゾートシティとして、また素晴らしいウェルネスシティとしてのアンタルヤは、日本の経営層にとっても魅力的で、トルコをビジネス面でもプライベートでもより好きになる要素をもった都市ではないでしょうか。

皆さん、貴重なご意見をありがとうございました。皆さんのお力添えをいただきトルコと日本をいっそう楽しい関係にする仕掛けができればと思います。

【関連記事】
>> アンタルヤ・ヘルスツーリズム(1) 
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