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厚顔無恥 在米日本人のニッポン考〜  (3/3/2005) 

財団法人 AKIOS (アキオス) International Ministries Foundation/CEO 新井雅之

日本の経済が飛ぶ鳥を落とす勢いで成長し続けていた80年代半ばから、私は小さな旅行社を経営していた。いちげんのビジネスマンから予約が入る事が度々あったが、彼らは皆威風堂々としていて、自信に溢れた声で〇〇銀行の??だが、〇〇商事の??だ、と名乗って予約を入れてくる。当方としては宿泊先のホテル名と部屋番号、そしてフルネームと参加者の人数だけで用は足りるのであるが、こちらから伺ってもいないのに必ず会社名を名乗るのである。

ツアーに参加してくる日本では一流といわれている企業戦士の大半は、こちらの方から丁寧に挨拶をしても最後まで一言も喋らないタイプの人と、終始不遜な態度で接してくるタイプの二つに分けられた。

同じ時期に、米国に進出しようと目論んでいる地方の中堅企業の取締役が、弊社とコンサルタント契約を結ぶ前の折衝の席で、事業展開の詳細は後回しにしておいて、次から次へと私に名刺をくれるのである。それらの名刺には〇〇会社の社長、顧問、相談役などの肩書きが添えられてあり、いかに自分は信用があって地位の高い者であるかを、一刻も早く私に知らせるためであった。

このように、自分よりも社会的地位が下であろうと思わしき人間には、最初に威圧しておいて、自分が主導権を握ろうとするのである。先の副将軍、水戸光圀よろしく「この紋所が目に入らぬか」とでも言いたいのであろう。

私は仕事柄、米国を訪れる日本人起業家の相談に応じる事がある。彼らは一応に手土産を携えて私のオフィスを訪ねてくる。やがて意気投合すると夜は食事の接待にあずかる。酒が入ると気が大きくなって饒舌になるので、彼らは益々大風呂敷を広げるのだ。

だが、私がコンサルタント契約の話を切り出すと、殆どの日本人が尻込みするのである。土産と飲食だけで私を釣り上げておいて、事業が軌道に乗りだしたら利益を分配するあんばいでいるらしいが、基本的なことからビジネスプランを改革しなければ、厳しい契約社会のアメリカでは99.99%事業の成功はあり得ない。

水と安全と情報が無料で得られると信じきっている日本人は、私たちが蓄積したデータベースから人脈、そしてありとあらゆるノウハウを、飲み食いだけで手に入れようとするのだ。ましてアメリカで日本語のサービスが受けられる事すら、あたりまえだと思っている。

ところが、白人に少しでも親切にしてもらったり、仕事上の便宜を図ってもらうと、大層満足して法外な報酬を渡してしまう。このように国際感覚が欠落しているコンプレックスの塊に、グローバルなビジネスは不適応である。

揚げ句の果てに私たちを散々活用しておいて、幸先が悪くなると日本へ連絡を入れても梨の礫である。数多のコネクションと複雑な内幕交渉の知識をサポートして来た甲斐なくして、アメリカサイドでは関連企業との対応に追われて、彼らの尻拭いをする羽目となる。人の情が分からない厚顔無恥な同胞の振舞いは、多くの人の心に深い傷を刻むことになる。

新井雅之

* AKIOS(アキオス)International Ministries Foundation
CEO/Masayuki Arai

(「厚顔無恥 〜在米日本人のニッポン考〜」は、月刊誌『エルネオス』に掲載された原稿を、新井雅之氏の許諾を得て抜粋掲載させて頂きました。)

月刊誌『エルネオス』www.elneos.co.jp/





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