2022年2月14日

PRESS CONFERENCEシリーズ
第3回目 “How Strict Border Controls are Hurting Japan”

Wednesday, February 09, 2022, 15:00 - 16:00 at FCCJ


登壇者
  • Christopher LaFleur, American Chamber of Commerce in Japan (ACCJ) Special Advisor
    クリストファー・ラフルアー、在日米国商工会議所(ACCJ)特別顧問
  • Michael Mroczek, Chairman of the European Business Council in Japan
    ミハエル・ムロチェク、欧州ビジネス協会会頭
  • Marcus Schuermann, Delegate of German Industry and Commerce in Japan
    マークゥス・シュールマン、在日ドイツ商工会議所専務理事
  • Matthew J. Wilson, Dean and President of Temple University, Japan Campus
    マシュー・J・ウィルソン、テンプル大学ジャパンキャンパス学長
  • Filippo Pedretti, M.A. student at University of Padua/Ca' Foscari University of Venice
    ペドレッティ ・フィリッポ、パドヴァ/ヴェネツィア カ・フォスカリ大学 大学院生

昨年11月、オミクロン株が瞬く間に世界に拡がった。10月4日の岸田内閣発足前後の頃は新型コロナウィルスの感染拡大は鳴りを潜めていたが、12月に入って日本列島の各地を襲い始めた。米軍基地のある沖縄県をはじめ山口県、広島県では、先に感染が広がったアメリカ本土のウイルスが、在日アメリカ軍関係者によってもたらされたと見られ、日米地位協定によって軍関係者の検疫は米軍任せで、結果として、政府の水際対策に「穴」が生じた格好となった。
そして、オミクロン株感染者が11月30日に国内で最初に確認されるのと同時に、再び岸田内閣は全世界を対象に外国人の新規入国停止を打ち出した。

今回の記者会見では、イタリアの学生、日本にキャンパスをもつアメリカの大学、在日ドイツ商工会議所、欧州ビジネス協会の代表らが、この2月末まで外国人の新規入国が原則停止されている日本の水際対策の”弊害”について意見を述べた。

在日ドイツ商工会議所は日本に進出している400社近いドイツ企業へアンケートを実施し、約100社の回答を得た。入国制限の影響で技術者や駐在員が来日できず、73%の企業が「プロジェクトや事業活動がリスクにさらされている」との回答を示し、そのうち23%の企業が入国制限に伴い事業が中止になるなどして、その損失の総額は1億ユーロ、日本円で130億円を超えるとしている。また、11%の企業が日本での事業をすでに縮小、または今後、縮小する予定としている。更に、13%が地域の統括機能を日本以外の拠点に移した、もしくは移す予定にあるという。シュールマン専務理事は日本政府に対して入国を緩め、透明な動きにしてもらいたいと訴えた。

テンプル大学のウィルソン学長は、国内にキャンパスをもつ同大学として、学生が日本に来られないことによる経済的な損出・影響はむしろ短期的なもので、将来の日本のファンや支援者が日本から別のアジアの国や他国に行ってしまうリスクに触れた。オリンピックは開催するのに、日本は教育を重視していないのかと考えてしまう。全体として入国を待っている15万人の学生、そして将来の日本を考えるとこの状態は芳しくないと訴えた。

ACCJのラフルアー氏も、ビジネスパーソンや学生の入国を規制していることは、日本経済の回復を遅らせることになり、日本が長期的なパートナーとして、グローバルパートナーとして適切かを考えることにもなり、日米双方の経済の維持と成長を阻むことにならないよう警鐘を鳴らした。

欧州ビジネス協会のムロチェク氏は、日本への旅行・入国への規制をトップアジェンダとし、欧州から経営者や技術者を日本に送り込めないこと、自由に行き来できないことの弊害の大きさを改めて指摘した。記者会見とは直接の関係はないが、同氏はたまたま、この日の午前、岸田首相を表敬し日・EUビジネス・ラウンドテーブルの提言書の手交を行なっている。日EU間の協力が、よりデジタルでグリーンな未来へと導くとしている。

イタリアの学生フィリップ氏は、1年前と状況が変わっておらず、学生として「待つことに疲れている」と述べた。早く解放して欲しい、どの学生もそれを望んでいると強く訴えた。

なお、2月12日の新聞報道によると、政府は2月末まで原則停止した外国人の新規入国について、段階的に緩和するとしている。まず、ビジネス目的と留学生の入国を2月中に先行して決める。1日1000人以上から順次拡大する。また、全面解除に先行してビジネス目的や留学生は学校や企業の監督を前提に受け入れる。施設などで一定期間の待機を求める。ビジネス目的は短期の出張や日本への赴任を認める。研究者・技術者や公益事業に関わる人を優先するとしている。