2022年2月28日

PRESS CONFERENCEシリーズ
第6回目 ラーム・エマニュエル、駐日米国大使 記者会見

"Responding to Russian Attack on Ukraine" Rahm Emanuel, U.S. Ambassador to Japan

16:00-17:00 Friday, February 25, 2022

2月28日午前10時にウクライナのセルギー・コルスンスキー駐日大使、午後2時にミハイル・ガルージン、駐日ロシア連邦特命全権大使の記者会見がFCCJで予定されていた。しかし、ロシアが24日ウクライナへの軍事侵攻を始めたことで急遽日時が変更となった。加えて、同日午後4時からは米国のラーム・エマニュエル駐日大使の会見が加わった。

2月24日、ロシア通信によるとロシア国防省はウクライナへの空爆を行い、軍事インフラ施設74ヶ所を破壊したと発表。ウクライナ軍はロシア軍から巡航ミサイルなど30発以上で軍や民間の施設が空爆されたとする。24日、ロシアの軍事侵攻に対し、G7の主要7カ国の首脳はオンラインで協議し、「最も強い言葉で非難する」との共同声明を発表した。




  • 米国・エマニュエル駐日大使による会見概要

    エマニュエル大使の会見は、この日午前に同じ場所で記者会見したウクライナのコルスンスキー駐日大使が見守る中での会見となった。

    エマニュエル大使は、ロシアによるウクライナへの侵攻について「過去36時間にわたって世界はいわれのない挑発的な侵攻を目撃した」と非難した。「国際法に違反する犯罪行為で、世界の安全と国際秩序への挑戦だ」とし、日本を含むG7主要7カ国および国際社会が連携して対処することを訴えた。

    ロシアのプーチン大統領がウクライナへの侵攻を正当化していることについて、エマニュエル大使は「クレムリンが何を言おうと、侵略は正当化できない」と批判した。プーチン氏による核兵器の使用を示唆する発言についても言及し、「核兵器の使用は世界に脅威を与える。アメリカと日本はウクライナとともにロシアの脅威を押し戻す」と話した。

    [追記]
    掲載が週を跨いだため、その間の動きについて簡単に触れておきたい。26日、ロシアのペスコフ大統領報道官は「ウクライナが交渉を拒否した」ことを理由に、軍事侵攻を表明した。ウクライナは交渉拒否の事実を否定しているものの、ロシア軍が現政権の転覆を狙いキエフに本格的な侵攻を行う可能性がある。プーチン氏が目指す「大国復活」の達成にはウクライナを再び勢力圏内に留めることが必要となる。プーチン氏にとって、ゼレンスキー政権の排除と親ロシア派の政権樹立が何よりの優先事項と言える。

    ロシアはウクライナに対して、第一に「ウクライナの非武装化」、第二に「ウクライナのNATO非加盟による中立化」、第三に「ゼレンスキー政権の即時退陣と政権幹部の責任追求」を求めている。ゼレンスキー氏は26日朝のビデオ演説で「これはわれわれの土地であり、国であり、子供だ。これら全てを守る」との決意を示している。それに伴い、ロシアがキエフを全面攻撃するリスクが高まっている。

    今回のロシアのウクライナ侵攻は決して日本にとって対岸の火事ではすまされない。ロシアはウクライナに続いて次のターゲットを、また、中国も台湾などアジアでの覇権の拡張に向けて拍車がかかる可能性が透けて見えるからに他ならない。岸田政権は欧米と連携・協調しながら、今回の不幸な事態の打開に向けて果敢に取り組み寄与することが強く求められる。




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