2011年8月19日

展示会を「はしご」して

7月末から8月アタマにかけて開催された第13回「ジャパン・インターナショナル・シーフードショー」と第6回「アグリフードEXPO東京2011」を見てきた。3.11の東日本大震災が残した爪痕は深刻きわまり、さらに不幸なことに福島の原発事故が数十倍、数百倍、その状況を悪化させた。日本の復旧・復興も掛け声ばかりで、地元の人たちは遅々として進まない現実を前に、軽々しく「復旧・復興」など口にして欲しくないと言う。そんな現実を見据えながら、日本企業がどのように建て直しを図ろうと取り組んでいるか、食品展示会の現場を覗き見ることでそれを感じ取ろうと思った。

今年のシーフードショーは「応援しよう水産日本」を合言葉に、約350の国内水産業者と海外からは過去最高の14カ国の出展規模となった。震災の影響でやはり総体的に開催規模は縮んだようで、会場全体にいささか活気に欠けていたのは否めない。海外からは、米国、インド、ウルグアイ、オーストラリア、大韓民国、タイ、中国、ナミビア、ノルウエー、バーレーン、パプアニューギニア、フィリピン、ベトナム、マレーシアの出展があった。印象に残った海外ブースは、インドブース(インド海産物輸出振興局)であった。これまでのインド産のエビといえばブラックタイガーが主流であったが、バナメイに注目が集まっていた。秋の水揚げ期に向けてすでに多くの日本のバイヤーが現地を訪れ、日本向け輸出が本格化すると見られている。

世界最高のファーストフードと呼ばれる寿司。国内市場は1兆5,000億、そのうち、回転寿司は約5,000億円である。寿司は世界に冠たる日本の食文化であり、ここに焦点を当てた「すしEXPO」がコーナー開催されていた。寿司種、刺身商材、変わりダネ、シャリ玉、酢やワサビ、寿司ロボットなど、寿司ビジネス展開のアイデアが感じ取れる内容ではあった。ここ何年か、寿司周辺の商材で例えば、回転寿司に必ず置いてあって自分で入れる粉末のお茶があるが、このお茶が結構売れていると聞いた。ビジネスのネタは正にどこにあるかわからない。

次に、「国産農産物の展示商談会」と銘打ったアグリフードは8月2日&3日の二日間、東京ビッグサイトで開催され、昨年をやや上回る規模の562社が出展した。展示商談会ということで「ジェトロ食品輸出商談会」が開催され、国内企業の海外バイヤーに向けた熱心な売込みがなされた。米国、ブラジル、ドイツ、中国、タイ、マレーシア、シンガポールの7カ国、14社のバイヤーと出展企業との間で一社40分間の商談が分刻みで実施された。

商談をスムースに成功裏に導くため、日本企業向けに食品輸出に取り組むための基礎知識にはじまり、商談会の事前準備として何をやるべきか、事細かにジェトロ担当者より日本企業にオリエンテーションが実施されている。例えば、輸入国のマーケット事情や当該商品の法規制のチェックを怠らないこと、会社案内や商品説明書は英文で準備すること、調理方法や食べ方を含めたプレゼン用のサンプルの準備、さらに、価格表や営業提案書、商談メモの取り方に至るまで要所を押さえた指導・支援をしている。この展示会のすぐ後と半年後に商談の進展具合の記録もとっているとのことである。

原発の影響で被災地農産品の禁輸はもとより、一部海外から貿易制限措置を実施されている現状、食品によってまた相手国によっては日本から海外への輸出は、なかなか難しいことではあるが、日本企業には逆境をバネに耐え忍んで取り組んで欲しい。